古酒

 何故か日本人は、古酒を好まない。

 室町時代の公家や江戸時代の武家他は、「3年酒」「9年酒」と呼ばれる古酒を珍重した。江戸時代の古酒の価格は、新酒の2倍から3倍もしたそうだ。本当の新酒とは、新米の時期に造られたものである。

 古酒は、本来、風味も酸もしっかりしていて、味も良いとされている。それなら珍重されるのも納得である。

 酒が古くなると、酒特有の香りがする、この香りを嫌う人も多いようだ。私も、初めて蔵元さんで頂戴した時は、苦手であった。鼻をつまんで飲んでみろ、と笑われた。この独特の香りになれてしまうと、古酒は美味である。
 「くさや」や「納豆」の香りも強烈だが、なれると気にならず、美味しいと感じる。おそらく、古酒文化が復古したら、日本酒も何年ものとか、それにプレミアムが付く時代も到来するであろう。腐らない酒なら年とともに美味しくなるはずだから。

 年代物のワインをありがたがる日本人が、年代物の日本酒を嫌うのは奇妙な話である。世界の先進国の中で、自国の酒をいやしめて、他国の酒をありがたがる、そういう国だからこそ拝金主義が末端まで浸透したのであろう。




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