自閉症の子供たち

 自閉症の子供たちと接した事は何度かある。何れも、90年代初頭の英国での話しだ。英国滞在時、フィナンシャルプランナーをしている友人の紹介で、自閉症の子供たちとのコミュニティーに参加する機会を得た。前にも触れたが、当時の私には無意識の差別意識があった。今も残っているかもしれない。

 多くの事は忘れてしまったが、今でも鮮明に覚えている事が一つだけある。自閉症の少女との会話である。

 彼女は、絵を描くのが好きであった。彼女が描いている作品は、私には想像上の事象に見えていた。そこに実在していない物を描いているからだ。彼女との会話の中で、彼女の一言が私に衝撃を与えた。

 「私には貴方が見えない世界が見えるの。」
 別に、霊の世界の話ではない。凄い奇異に感じたものだ。しかし、帰国後、とある脳科学医師に会って、このときの話をしました。そしたら、彼は真面目な顔をして話してくれた。

 自閉症の子供は繊細で、特定分野で突出した才能を持っている子も少なくない。回りから見ていると、ボーっと見える時、自閉症の子供たちの頭の中に芸術的世界が広がっていたりする。頭に自然に譜面が浮かぶ子供、絵が浮かぶ子供・・・素晴らしい閃きを持っているのです。彼等が他人と変わっているのではなく、それが「脳の多様性」なのです、と話してくれた。

 記憶の世界なので正確ではないのかもしれないが、「脳の多様性」という言葉が印象的であった。脳の「多様性」を否定する社会、思想、哲学、風潮、文化に問題がある。近代主義特有の同一性、マジョリティーと同じである事が普通である、という量的回帰の意識である。

 多様性が容認される社会になれば、彼等の自立の道は自ずから切開かれるのではないだろうか。既成概念によるレッテル貼りや強制は好ましくない。ユニークである事、差異がある事、個性的である事、特異性がある事、これ等は良い事である。差異を変わっているとして、蔑む社会から脱却するべきである。

 日本人の意識改革が重要である。意識改革が行われると、弱者と強者、左右、上下、あらゆる秩序が暴力的に破壊されて、新しい秩序が粛々と建設されるであろう。それが脱近代社会である、その兆候は芸術から政治までの幅広い分野で見られる。



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テーマ : 政治・経済・時事問題 - ジャンル : 政治・経済

コメント

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四季桜さん、こんばんは。

> 「私には貴方が見えない世界が見えるの。」

本当に衝撃的な言葉ですね。
「人間とは何か?」を改めて考えさせられます。
(なんて書くのは恥ずかしいのですが)

ところで、四季桜さんはご存知かとは思いますが・・・。

『火星の人類学者』オリヴァー サックス 、ハヤカワ文庫NFのことを思い出しました。
一応、ご参考までに・・・。


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