叙勲懐柔システム−メディア腐敗

 行政とジャーナリズムの癒着の場所は、度々、指摘されている記者クラブ制度「官庁記者クラブ」である。そこを介しての官庁及び行政との癒着構造は、記者の取材能力や調査能力、分析能力の劣化を招いた。結果、行政の発表するものを垂れ流すようになり、「新聞の官報化」と言われて久しい。

参照:メディア腐敗−政権癒着 2007年02月19日(Mon)

 上述のエントリーで記者クラブの問題を指摘しているので本稿では省略する。このような癒着構造は55年体制に始まっている。つまり、自民党と社会党の国対による馴れ合い体制、記者クラブ制度、天下り等による政官財・マスコミ癒着構造である。  そして、記者クラブによる懐柔効果より大きいものがある。ほとんど語られていないが、「叙勲」という名誉をネタにした懐柔である。叙勲の対象者は、政・官批判につながる勢力である、つまり、ジャーナリスト、文化人、評論家、学者、財界人等である。

 先ずは、霞ヶ関官僚の局長クラスの『私的』勉強会に参加させる。そして、官庁の意向に沿える人物である、と判断されたら、省庁の『審議会』の委員に任命する。その次のステップが、首相主催の『審議会』の委員である。勿論、省庁の意向に沿わない正論を述べたりすると二度と任命される事は無い、と言われている。

 公的・私的な審議会の数は200を超え、委員の数も5,000を超えると言われている。この委員の肩書きは、テレビや雑誌等のコラムでも「ハク」になる。つまり、最高の売名・宣伝につながるのです。この委員や委員長を長期間務めるジャーナリストを、『族記者』と呼ぶ。

 もはや、ここまでくると『叙勲』確実の世界である。また、新聞協会の会長や新聞社の社長にまで『勲一等』の授与されるようになっている。勲章が齎す「ハク」の効果、社会的地位を得た満足感に叙勲がプラスされ満たされる自尊心である。メディアや財界関係者は、勲章に弱いのである。

 官僚主導の叙勲懐柔プログラムで問題になるのは、『メディアの官報化(官僚・行政に不都合な事実は隠蔽される大本営発表)』による民主主義の危機(レーニン主義体制では普通である)、『政策決定のための審議会の機能不全化・私物化』、『勲章制度の私物化』である。これに、メディア懐柔方法として、『記者クラブ接待』『官の広告(メディアは広告費の減額に苦しんでいる)』『広告会社への天下り』『監督官庁の権限』が加わる。

 叙勲を辞退した故人・元日経連会長桜田武氏や元日本興業銀行頭取中山素平氏の気概が賞賛された理由もこういう裏事情による。腐敗しきっている、腐りきっている官僚制度の健全化、適正化(=官のスリム化、合理化)をしない限り、日本に真の民主主義は到来しない。


コメント

官僚が法案を作成していて、法案の通過審査も数の多さからままならないということさえ知らない人が多い。官僚制の問題の根深さから、行政改革が望まれたのに、「小泉改悪」で自民党が巨悪になった。そして、長期的に悪魔的行為をしている官僚には目がいかない。日本国民はどうかしている、忘れっぽし、ね。

そのまんまが、記者クラブ批判してすぐにひっこめましたね。

>うに様
仰られるとおりです。
官僚や公務員が法案を作成している、
その事実さえ知らないと、
政治家のみを悪者にし、政治家に過剰に期待します。

それだけ、小泉改悪の衝撃が大きかったのでしょう。

>名前のない方

ええ、そうなんですよ。
やっと記者クラブを敵に回す猛者が登場した、
と思いました。

マスコミを敵に回して、
批判の為の批判をされたら大変でしょう。
「反権力」=かっこいい、と思っている人居ますから。

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