疲弊する地方都市−地域格差

 四季桜は、中堅地方都市の生まれ、育ちである。但し、都内で生活し住友三角ビルに通勤したり、横浜で生活した事もある。地方(故郷)の惨状を、政党や大都市の国民・市民は理解していないであろう、理解しろと言うつもりもない。凡そ、あらゆる地方(故郷)の良いもの、地方(故郷)のものが、『大規模小売店舗立地法』施行以降、壊れ続けている。結果として、保守的な利他主義は、衰退した。つまり、地方庶民の精神の都会化、無機質化である。

 四季桜の故郷でも、街の中心にアーケード商店街があり、複数の百貨店が連ねていた。しかし、大店法が施行されると、郊外に環状道路が建設され、その環状道路にそって大都市資本の大型店−トイザラス、アオキ、イオン等々−が、軒を連ねるようになった。そして、市の中心にある商店街は過疎化した。
 四季桜の知人が経営する寿司屋は、回転寿司チェーンの出店と人為的「不景気」によって水道代も払えずに、店を閉めた。四季桜が、就職した時に、イージーオーダーのスーツとワイシャツを仕立ててもらった紳士服店も、経営が立ち行かなくなり店を閉めた。数代続く同級生の酒屋も、彼の代で倒産している、彼の家族にとっては、店が全てであり、最も大切なもの、護るべきものであった。これは、生活の糧、という意味だけではない。

 気がつけば、一等地であるべき中心街にさえ更地がある。そして、地元資本の百貨店やスーパーは倒産し、大手資本の百貨店、スーパー、専門店、飲食店、ファーストフード店ばかりが立ち並んでいるようになった。田舎の喪失、地方の独自性の喪失、つまり、「故郷の死」である。元々、そこは、地元庶民の零細企業が経営していた場所であり、人と人の触れ合いがある場所であった。マニュアル対応の店員ではなく、日常会話や井戸端会議が行われていた交流の場であった。お年寄りの社交場であった。地方庶民だけではなく、江戸時代創業の老舗の造り酒屋も倒産し、被害を被っている。文化の衰退である。地方の特色が消滅したのである。

 交流の場といえば、公園がある。四季桜が、幼稚園から小学校低学年の頃に遊びに行った公園は荒れ果てている。遊具や施設は、危険なので「利用禁止」となっている。管理している市に連絡すれども、冷淡な反応(マニュアル返事)しか返ってこない、予算がないのかもしれない。

 市や県が造成した工業団地には、地元の中小企業が多くある。しかし、大企業の圧力によるコスト競争、という名目で無理難題の皺寄せを受けている。その大企業は至上空前の黒字決算をだしている。何よりも、外務省主導のODAによって、中国や東南アジアが繁栄したのは喜ばしい事だが、その犠牲者は、善良で真面目な地方の中小企業経営者である。

 建設業界でも、大手ゼネコンの圧力により職人が泣いている。最終判断として、「系列」「協賛会社」という共同体から離脱するに至っている。つまり、我慢して受けてきた赤字の仕事の拒否である。職人にとって、協賛会社としての集り、コミュニケーションの場であり大切な物であった。また、同じ業種の組合にしても、衰退の一途を辿っている。職人の衰退は、文化保全の危機である。嘗て、国の文化遺産指定の建造物の修繕に関与した事あるが、そこで見たものは、職人が徒弟制度の下受け継がれてきた英知である。徒弟制度もままなら無い日本社会では、多くの文化遺産の保護は不可能になるであろう。

 民主党にしても、大店法問題当時、高速道路無料化等を含め、一見、庶民のためであるが、地方切捨てにつながる政策を推進しようとしていた。つまり、共犯関係である、この事実を地方の保守中の保守は決して忘れないだろう。

知人曰く、「自民党は裏切り者だが、民主党は元々『地方庶民の敵(※1)』だろう。民主党は大都市庶民の政党だ。民主党が具体的政策を示さない限り、選択肢にはならない。選挙は棄権するもの。」

知人曰く、「民主党こそが、地域格差推進政党だ。大都市優遇政党ではないか。地域格差是正など嘘だ。自民党が、知識層に乗せられて、民主党化した(※2)ことに問題があったんだ。」

知人曰く、「民主党は官労組とぐるじゃないか、庶民を見殺しにした連中の仲間じゃないか。自民党も支持できないが、民主党も支持できるわけない。」

知人曰く、「時給1,000円の政策が大都市政党である証拠。うちら零細企業を殺す気だろう。地方にとどめをさせば、都市のスラム化と日本の国力が衰退するだけ。(※3)」

※1 民主党元代表の岡田克也氏は、元通産官僚であり、大店法改正案(自民党有志が苛烈に反対)を知りうる立場にありながら、イオングループの不動産売買部門の小会社の役員を違法に兼務していた。イオンの郊外展開は、他社と比較にならないほどスムーズで、店舗と道路(公共事業)がセットでできる有様であった。シャッター街の立役者として、小泉以上の売国奴として、地方で悪名を馳せている。同氏は、大店法に反対しておらず、高速道路無料化による更なる地方衰退政策を掲げていた。また、民主党は護送船団方式の否定の金融政策、つまり、規制緩和を推進していた。つまり、小泉暴政の元凶的政策を民主党自身が掲げていた。民主党も、自民党同様の地域格差を創った。民主党元代表の岡田克也氏こそが、政官財癒着の権化であり、庶民虐待の帝王であり、責任転嫁・無責任の帝王であり、地方破壊の大魔王である、と考えられている。

※2 シャッター街ができ、中小企業が衰退した。それによって齎された都市化によって、民主党型大都市優遇政策を実施しないと、選挙に勝てなくなった。そして、フリーターや派遣の時代が始まる。それで、都市的価値観(サヨク的、リベラル的)を打ち出し、地方切捨てに拍車がかかった。

※3 日本の産業を支えてきたのは、町工場の高い技術力である。大企業優遇政策やODAによって、町工場が衰退し、技術力が低下した。そればかりか、海外企業に買収され、技術の流出が加速した。江戸時代に大阪や江戸が栄えたのは、地方の特産品等が集積されたからである。つまり、地方が消えれば、物資の集積も無い。今も同じである。

 民主党も小泉政権誕生以前に、金融機関の護送船団方式を否定した規制緩和推進の政策を掲げていた。手法に差異はあるが、規制緩和の齎した小泉金融危機時代、銀行がバブル期に半ば強制的(積極的)に貸した金の返済を、唐突に求め始めた。この不当行為によって、「黒字倒産」という世界にも稀有の事例を多々生み出し、日本の産業を破壊し、地方庶民の生活を奪った。その悪行に荷担したのが、知識層の代表である「弁護士」であり、その行為を担保したのが「民事執行法」「破産法」の改正、つまり、国会議員の関与であった。そして、マスコミやジャーナリストが、「勝ち組・負け組み」「自己責任」という意味不明なキーワードを庶民に浸透させて、これ等の暴挙を正当化し、隠蔽させた。金融庁は若干の抵抗をした。

 低金利時代で、政府や金融機関による諸外国への低金利融資政策、預貯金大国の庶民は、低金利で利子を受け取れない。この理不尽さである。四季桜の地元の企業の衰退は著しく、この惨状に目を覆いたくなる。もっとも、倒産企業数の推移を考えれば、これは他の地方都市も同様であろう。この惨状で跳梁跋扈しているのは、大手企業である。大企業は、企業誘致の際に地方行政が約束−工場までの主要道路の拡張−の履行を求め、速やかに実行しない場合は工場の移転をする、とブラフをかけてきた。行政は平身低頭に接し、履行を約する、勿論、大企業に移転されたら幾千の雇用を失うからだ。

 追い討ちをかけるように実施されたのが、「平成の大合併」である。統一地方選挙で、合併された農村部の話題も、ニュースに取り上げられていた。歴史的な地名までが、軽薄の新都市名になったり、中核都市に吸収されて消えていく。郷土史の終焉である。郷土愛の喪失である。文化の衰退である。地域の衰退、つまり、地域の名家の没落を意味し、左翼的にとっては階級闘争的に捉え喜ぶかもしれないが、その家の人にとっては、『家』を守ることが人生そのものである。命に続いて大切なもの喪失である。御先祖様に申し訳が無い、という気持でいっぱいになるはずだ。

 これが、小泉・竹中A層戦略の始まり、つまり、A層が「政治家」「大企業社員」「官僚」「公務員」「教員」「弁護士」「マスコミ」であり、他の国民がB層(中小企業、フリーター、非正規雇用、専業主婦等)である。そして、このB層(A層から予定通りにB層に没落した人を含む)の人達が、識者の予告どおりに、生活の直撃を受けて泣き言を言う、故に、愚民層と呼ばれている。日本人の多くは、四季桜も含めてB層又はB層候補である、と気がつくべきである。

 四季桜が子供の頃、故郷で凶悪犯罪のニュースなどなかった。事件自体ほとんどなかったのである。それが、このような地方衰退が進むにつれて、一つの「殺人事件」が発生した。それが大騒ぎになった。今では、凶悪犯罪が起きても、人々は何事もなかったように過ごしているし、ほとんど話題にさえならなくなった。日常生活に凶悪犯罪が溶け込んでしまっているのである。そして、冬場の図書館や公共施設には、ホームレスが多数休憩している。子供の頃、ホームレスを見た事が無かった。

 地方の衰退と破壊から、大企業、政治家、霞ヶ関官僚、地方公務員、大企業社員、労働組合、金融機関、弁護士、裁判官、大都市の庶民の誰も守ってくれなかった、寧ろ、破壊活動に共謀又は間接支援したのである。地方庶民は、守るべき「心」「文化」「共同体(家)」という「保守的価値観」を喪失したのです。守るべきものを守ってくれなかった国家、政党、憲法、法律、知識層への不信感、不快感、怒りは自然の流れである。

 知識層による地方虐待⇒地方重視政党自民党の裏切り(民主党化)⇒相互不信⇒郵政選挙で自滅的選択⇒更なる修羅場⇒知識層の声(格差是正、改憲問題他)も届かない

 今、世間の知識層が、我が物顔で意見を述べる戯言は、この厳粛なる事実を無視しているのである。護るべきものを喪失した人、換言すれば人生で最も大切な価値観を失った人に、何を護りましょう、と説いても、「護るべきものはないのだ」となる。人為的不景気により、地方庶民は生活水準を下げつつ、日々の生活におわれ、言い変えれば、生きていくのに必死になってしまっているのである。

 順序として、この問題を知識層が認識し、反省する事から始めない限り、国内対立及び相互不信は消えない。いくら、非自民の結集を唱えても「バベルの塔」にしかならない。結集して虐待される、誰も助けてくれないから自助努力するしかない、そう思っているからだ。多くの地方に居る保守系無党派は、非自民兼非民主(反民主)なのだ。自民党にせよ、民主党にせよ、癒着している既得権益者と戦わない限り、諸問題の解決は困難であろう。既得権益者とは、主として、「政治家」「霞ヶ関官僚」「公務員」「大企業(経団連等)」「弁護士」「労働組合」である。

 「政治家・官僚・公務員の猛省と適正化」と「地域格差是正」(大都市優遇廃止、大企業優遇廃止、高所得者への累進課税強化)⇒地域地場産業の復興・地方庶民の再生⇒都心部の貧困層のUターン⇒内需拡大⇒治安回復⇒民心回復(日本人に内在する保守的利他主義)⇒少子化解決⇒日本の再生

 地方は、凡そ、あらゆる党派や層に見捨てられている。その結果、極度に疲弊している。故に、憲法改正、国民投票法案、共謀罪等々にさえ、関心を寄せる余力は無い。故に、知識層がいくら叫んでも反応するのは豊かな都市の住人だけである。そこまで、地方は追い込まれているのだ。地方にとって明るいニュースは、「もったいない」という保守的価値観を掲げた滋賀県知事の躍進である。各地方は、その地方独自の風土を重んじた価値観を護り、それを誇りとした地方再生をするべきである。大企業のための政党になった自民党も駄目であるが、中央強権と大都市政党の民主党も駄目である。

 事実として、四季桜を始めとする、多くの地方の保守は敗退したのである。「大規模小売店舗立地法」が、自民党劣化、地方疲弊の始まりなのだ。故に、日本は衰退し、治安が悪化し、社会荒廃を招いた。護るべきものを、自由主義的価値観から護れなかった。日本型の利己的リベラル(都市に多い)や似非人道主義サヨク(都市に多い)から伝統的保守価値観(地方に多い)を護らない限り、地方の再生は無い。先ずは、護るべきものを創ること、その存在に気がつくことから始めなければならない。壊された物は二度と戻らないし、再生も出来ない、似て非なるものを創る事しかできないのである。

 この価値観に理解と尊重を示せる政治家及び政党の出現に期待したい。

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すっきりした

民主党へのもやもやが、はっきりしてきました。あたしの田舎の自営の祖父が、頑固に民主党や弁護士を嫌うのもわかりました。商工会の寄り合いで、話を聞いたりしたのかも。

あたしは、田舎に仕事がなくて上京した。もう一度、田舎の大切さを考えてみたいと思います。

 初めてコメントさせてもらいます。

 私の生まれ故郷は、かなり辺鄙な地域です。昨年の夏祭りの時期、実家に戻りました。「夏祭りが、子供の頃と比べて質素になったなあ」と親に感想をもらした。

 それで、初めて知ったのですが、夏祭り等の運営費は、商店街の人達が出していたそうです。その商店街が廃れれば、資金も無いから質素になるのは当たり前だと。花火大会等のイベントもそういう人達に支えられていて、そういう人達が自民党の支持母体だった、とその時、始めて知りました。

 ブログを読んで、私の思い出の地の風景も変わったし、変わるのは良いとしても、変り方が人為的、大企業の躍進、機械的なものでした。

 私自身、あまりにも、自分の故郷に無関心であったことを、あの時以来、反省しております。後悔先に立たずですが、これ以上、破壊されないようにと思います。 

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コメントありがとうございます。

>「管理人のみ閲覧できます。」の4名様
こんばんは。

地方の事情は、地方によって異なると思います。
個々の事情に応じて対処するべきだと思います。
つまり、政党であっても中央指導には否定的です。

新党大地や滋賀県知事のミニ政党の時代だと思います。
そういう試みは各地で芽生えていますが、
機能しているところは少ないのが実情だと思います。

地方庶民の事情を、大都市の人に理解せよ、
これは傲慢だと思います。
地方で受けている人は、中央官庁と対峙する人です。
それが、証だと思います。

>ななし様
こんばんは。

四季桜は、取引先の中小企業の社長から聞きました。

>成年様
こんばんは。

自民党支持者=中小企業や商店主の時代がありました。
佐藤栄作首相の所得倍増政策時代に、
大企業と中小企業の格差是正政策が行われました。
彼の有名なエコノミスト下村氏によるものだと思います。

地域文化を保守するべく、
地域庶民の為(=自分の為でもある)に、
祭りやイベント等で、保守の利他主義が見られました。
今でも同じですが、無い袖は振れないのです。

地方の名家衰退=保守文化の衰退になるのもそこです。
伝統だ、文化だ、という抽象的なものではなく、
自分が護るべき物を見据える事は大切だと思います。

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こんばんは

>管理人のみ閲覧できます。様
コメントありがとうございます。

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コメントありがとうございます。

>管理人のみ閲覧できます。様

こんばんは。

人に内面に多様性があり、矛盾があり、
そこにカオスの世界があると思います。
自分自身でも、己を全て知る事は困難です。

故に、他の人に全部を理解してもらうのは難しいでしょう。
そうすると、他者に批判されるのは己の一面であり、
批判されても余り気にする必要は無いと思います。
勿論、まずい事は真摯に受け止めるべきですけどね。

人には色々な顔があるから面白いです。
それが、政治経済の世界になれば、益々、複雑怪奇です。
私はそのカオスがすきなのです。

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意見が異なっても『筋のいい人』は大勢いる  

自公政権の土俵に乗って闘う必要は無いが知っておかなくてはいけない事は色々とある。憲法改正の手続法である国民投票法にしても本来は、法によって決まっている事なので、ことさら反対したり騒いだりする必要は無いので

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