処世術と事大主義

 処世の根本にあるのは事大主義であろう。

 事大主義路線を取りながらも、世間より自己保身の露骨であると見られ醜いと思われるか、各種小細工を行ってもっともらしく見られるか、その違いであろう。ミエミエのお世辞や褒め言葉が嫌われ、巧みなお世辞は人を喜ばせる。それと同じである。

 不器用に愚直に生きる人間は、事大主義路線を露骨に実行したり、事大主義路線を拒否して自己表現をする。不器用な事大主義は、己の事大主義という恥部の鏡のようなものである。故に、人は不快感を示すのである。もしくは、積極的に事大主義に走れない事への嫉妬である。

 本来、事大主義とは、智者は小国でありながら正々堂々と礼節を尽くして隣接する大国と接する、そういうものである。理想論として事大主義を否定しても、現実世界では程度の差はあるが事大主義である。

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自閉症の子供たち

 自閉症の子供たちと接した事は何度かある。何れも、90年代初頭の英国での話しだ。英国滞在時、フィナンシャルプランナーをしている友人の紹介で、自閉症の子供たちとのコミュニティーに参加する機会を得た。前にも触れたが、当時の私には無意識の差別意識があった。今も残っているかもしれない。

 多くの事は忘れてしまったが、今でも鮮明に覚えている事が一つだけある。自閉症の少女との会話である。

 彼女は、絵を描くのが好きであった。彼女が描いている作品は、私には想像上の事象に見えていた。そこに実在していない物を描いているからだ。彼女との会話の中で、彼女の一言が私に衝撃を与えた。

 「私には貴方が見えない世界が見えるの。」

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中日新聞:足るを知る者

足るを知る者
2007年11月24日


 <求めない−/すると/いまじゅうぶんに持っていると気づく>

 <求めない−/すると/いま持っているものが/いきいきとしてくる>

 <求めない−/すると/それでも案外/生きてゆけると知る>

 書店に立ち寄ったら、平積みされた小さな本が目に留まった。どのページにも、こんな短い句が一つずつ。どれもが「求めない」で始まっている。シンプルで、何でもないような言葉ばかりだが、引き込まれてしまった。

 タイトルも、ずばり『求めない』(小学館)。作者は、詩人の加島(かじま)祥造(しょうぞう)さんだ。

 人間とは、求めてやまない存在である。求める心が大きなエネルギーにもなる。しかし、現代の私たちはあまりにも求めすぎているのではないか。欲望過多の時代と言っていいかもしれない。

 豊かさを際限なく求めた結果、あふれかえったモノとゴミに私たちは窒息しかかっている。成長と進歩への飽くなき欲望は、自然を破壊し、地球を危機に陥れている。

 快適と便利の果てしない追求に、人は逆に振り回されている。度を越した所有欲が引き起こす事件は、絶えることがない。私たちが抱える不安も、さまざまな「過ぎた欲望」と無縁ではあるまい。

 このあたりで一度立ち止まり、求める心にブレーキをかけよう。加島さんはそう呼びかけている。だが彼が最も訴えたいのは、欲望を抑えることが実は本来の自分を取り戻させ、生き生きとした暮らしにつながるという点だ。

 信州の伊那谷で自然と向き合い、最近は老子や荘子に傾倒しているという加島さん。この作品も、老子の「足るを知る者は富む」に触発されて書いたと述べている。

 今の自分に満足し、受け入れる。それが本当に豊かな人間である。この二千年余り前の言葉を、時代に即して丁寧に翻訳してくれたのだろう。

 <求めない−/すると/求めたときは/見えなかったものが−/見えてくる>

 <求めない−/すると/時はゆっくり流れはじめる>

 <求めない−/すると/心が静かになる>

(名古屋本社編集局長・加藤 幹敏)


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幸せ

 「幸せ」って何かな。幸せであると感じられる豊かな心ではないだろうか。特別、お金があるわけでもなく、思い通りの人生を歩んでいるわけでもなく、夢や目標を掴んだわけでもない、普通の人や負け組みと言われるような人でも、「幸せだわ」と心から口にしているのを何度か見た。

 幸せと物欲・お金に深い関係は無いのでしょう。しかし、不幸と物欲・お金には関係が有る。生存の為のカロリーさえとれないほどの貧乏なら不幸である。お金は不幸から解放するが、幸せを招くものではないのであろう。拝金主義に対して嫌悪感を抱くが、お金を軽蔑したりもしない。

 豊かな心は、多くのものを欲しない。物欲で世間体を気にし、見栄をはっても無意味でしょう。社会の風潮に流され続けていたら、自身の内面に潜む自分の「豊かな心」は涵養されないのではないでしょうか。社会、周囲の人、家族、日本文化、慣習、伝統、風習等によって多くの影響を受けながらも、流されず、逆らわず、「しなやかな精神や豊かな心」を涵養した人は幸せであろう。精神の自立は大切である。  

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教養主義の齎すもの

 敗戦で焼け野原になった日本であるが、わずか戦後二十数年で、世界第二位の経済大国に発展した。そこには、「貧困からの脱出」「飢餓からの脱出」をする為の経済優先主義があった。ここでの貧困とは、衣食住さえままならない人を減らすということだ。今の時代の似非貧困とは全く異なる次元の貧困である。

 世界第二位の経済大国に発展した時、「全共闘世代」「団塊世代」が社会に進出し始めた。彼等の数の暴力は、消費をリードし、ブーム・トレンドを形成するようになった。彼等は、世界第二の経済大国では満足出来ずに、経済至上主義思想を浸透させていった。その結果が、バブル狂乱である。バブル狂乱で遊び狂ったのはバブル世代ではない、バブル世代は株式投資や不動産投資をするほど資産はなかった。最も恩恵を受けたのは、バブル世代よりも上の世代である。

 90年代初頭にバブルが崩壊した時、日本人は伝統的価値観を喪失していた。伝統的価値観とは、日本の文化・風土は金銭崇拝から程遠く、倫理を至上のものと捉え、尊ぶものであった。つまり、明治初頭まで庶民層にまで浸透していた文化、その後も、伝統として継承されていた文化である。日本人、特に中間権力を握った団塊世代は、これらを喪失してしまった。日本人が帰るべき原点「日本文化」を忘却したばかりか、「既成概念を疑え!」をスローガンに軽蔑し、罵倒したのだ。つまり、団塊世代や社会主義者の根幹的な問題である。その結果が、失われた10年、小泉似非改革、虚構の格差是正・貧困撲滅というスローガンの下に、更なる「物欲至上主義」「金銭至上主義」「金銭崇拝主義」「拝金主義」を浸透させている。団塊ジュニア世代に拝金主義者が多いのも偶然ではないだろう。

 つまり、今日の日本の惨状は、教養主義の衰退の結果が齎したのである。決して、小泉改革だけの問題ではない、スケープゴートにしても何ら改善されない。では、教養主義の齎すものは何か?

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自然

 「 自然 」とは、本来、「 自(おの)ずから然る 」という意味である。

 古代ギリシアでは、他の力によるものではなく「おのずから」のうちに始源をもち生成変化するという意味の【nature】がある。これは、人為・人工的と区別するものであった、と考えられる。

 これが明治時代になると、「天然現象」を指す言葉を、どのように訳すか、という問題が起きた。おのずから存在してこの世界を秩序立てている森羅万象と考え、「おのずから」という意味の「自然」を訳語にした。それ以降、徐々に、自然の意味が天然現象に変化したのである。そして、西洋近代主義の中で、人間は自然ではない、自然に対応する、自然と対立する、という思想が浸透してしまった。古来、日本では、人間も、他の動植物も、自然の一部として存在している、と考えていた。

 思うに、もう一度、明治維新の欧化主義によって失われたもの、特に、言葉の意味の変質に関して再考するべきである。言葉の意味は変質しても、秋の夜に響く虫の音色を楽しむ感性、つまり、自然の一部としている感性は残っているのだ。

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朝青龍、亀田、安倍晋三問題と中世欧州の魔女

 朝青龍、亀田、安倍晋三の何れにも非がある、そして、私も嫌いである。特に、亀田一家は軽蔑している。故に、話題に取り上げる事にさえ躊躇したほどだ。しかし、朝青龍問題、亀田一家問題、安倍晋三問題で感じたのは、マスコミ扇動と大衆の狂気である。ある種、執拗な虐め、バッシングの世界である。

 要するに、多くの国民が、社会への不満、よりストレートに言うなら自分自身への不満、不安、怒りを発散、攻撃する先を探しているのである。合理的根拠のない、不公正な勧善懲悪論によって、責任の無い面まで叩かれ続ける。朝青龍の怪我を仮病と言うなら、それを診断した医者はどうなるのか。年金破綻問題の責任は安倍晋三にあるのか、臭い物の蓋を開けて解決するのが悪いのか、公務員改革により政治を健全化するのが悪いのか。勧善懲悪の判定を下し、扇動しているのは、常に、メディアである。

 亀田騒動は、亀田を持上げたメディアの存在がある。勿論、大横綱として朝青龍を持上げ、保守期待の星として安倍晋三を持上げたのもメディアである。持上げてから、梯子を外し、叩き潰す。おぞましいリンチ社会である。

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正を以って国を治め−老子

正を以て国を治め

正を以て国を治め、奇を以て兵を用い、無地を以て天下を取る。
吾れ何を以て其の然るを知るや、此れを以てなり。

それ天下に忌諱多くして、民彌々貧しく、民に利器多くして、
国家滋々昏だれ、民に智慧多くして邪事滋々起こり、
法令滋々彰かにして、盗賊多く有り。

故に聖人は云う。
我れ無為にして民自ら化し、我れ静を好みて民自ら正しく、
我れ無事にして民自ら富み、我れ無欲にして民自ら樸なりと。

********転載終了********
 

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権力亡者の狂気と戦争・競争−「イリアス」

 人間と人間の間において、支配と被支配(服従)が完全に成り立つ事は無い。人間は能動的な生き物だからである。

 個人的な関係である「 愛 」の場合は、相手への盲目的隷属(※1)や自己への隷属を欲すると、大概は自己の精神的バランスが崩壊する。そこで、多くの人は、自主的に軌道修正を試み、それを妨害するものはいない。

 しかし、社会的関係「 権力者と被支配層 」の場合は、外的要因による妨害を受ける。権力者なる幻想、つまり、権力を掌握しようと奔走する人間は、同じ権力志向の競争相手を凌ごうとする。その結果、あらゆるものを生贄に差し出す狂気を産む。

 また、被支配層が人間である限り、例え、望んでも放棄する事が出来ない運命である「 自己決定能力 」「 主体性 」「 能動性 」を持ち合わせている。故に、被支配層が支配されるとは、それを望んでのことである(※3)。従って、本質的に他の人間への勝利・支配・掌握とは、「 殲滅 」「 物質化=死 」のみである。それは、支配対象の消滅を意味する。

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新しい時代の能力とは何か?−創造力・想像力・独創力

 能力とは何か?その問いへの答えは、概ね、「 記憶力 」「 判断力 」「 独創力 」に集約されている、と考えられる。勿論、それを生かすための「 決断力 」もあるが、今回は、「 決断力 」を除外する。これらの能力は、時代の変革と伴に、求められる要素が変わっていく。

 産業革命以前の時代では、「 労働力 」という「 マンパワー 」が重要であった。つまり、単純作業を繰り返し行う「 記憶力 」が求められたのである。そして、最低限の記憶力のある人間の数が重要であった。例えば、戦争でも同じである、故に、農民を戦争に駆り出したのである。

 産業革命後の近代社会は、機械が単純労働力にとって変わる。そして管理部門(バック・ヤード)が誕生し、労働者は「 事務能力 」が求められる。つまり、事務処理をできる「 記憶力 」が必要になった。それが、所謂、学校の勉強である。この社会で勉強は嫌だ、毎日仕事も嫌だ、そういう世界観がピーターパンの世界である。

 そして、今、進行中のIT革命の時代である。近代社会で必要であった事務処理能力はPCに取って代わられる。つまり、人間の能力の価値は、PCに出来ないものに見出すことになる。それが、判断能力と独創力である。

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日本酒愛好家、精神的自由と豊かさな追求。創造力の豊かさに感銘する。

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